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格言 [楽器]

前回の写真のチェンバロは私の愛器。

これは、フレミッシュ・タイプ・ハープシコード(英語なんでチェンバロはハープシコードとなる)で、埼玉県にお住まいの楽器製作家 柴田雄康氏が作った楽器。

フレミッシュとは、フランドル地方のという意味で、現在の北ベルギーとオランダにあたる。
ここでは17世紀、大変活発に楽器を製作した一族がいた。
ルッカース一族である。

彼らのいたアントワープは16世紀中葉に東方貿易の経路であったために、北ヨーロッパの重要な商業活動のちとなり、聖ルカ・ギルドという職業組合があり、様々な業種が組合員となり、活発なそして、かなり自由な活動をこの組合が保障をしていたようだ。 
ここに、このルッカースも加入が許されていた。他には有名な画家ペーテル・ブリューゲルや、出版屋のヒエロニムス・コック等もいた。

そのような、商業組合の中で、かなり楽器を量産していたようで、また、同じギルド仲間には木版画屋もあってであろう、楽器に木版画の紙を張っている楽器が多くある。これは、量産を可能にした要因でもあろう。

そして、張られた紙の上にラテン語の格言を書くようになった。

そういうことで、再度この楽器を眺めていただこう。
蓋を開いたところに模様のように見えるのは、木版画の紙。
そして、何やら文章が書かれている・・・これが格言ある。

鍵盤上の蓋:Acta virum probant 行為は人を証明す
弦の上の蓋:Sic transit gloria mundi かく浮世の名誉は移り行く

これを眺めながら、毎日自分を戒めながら演奏するわけです・・・んな訳ないですが・・・。

後、足に注目。
この丸っこい、引き物(こけしの要領で、まわして削っていって形作るもの)。無骨に大きな丸ですね。メロン・ターンスといって、この当時のフランドルの家具の足に良くなっているものです。当然楽器の台にも使われています。私はこのまるっこいのがとても気に入っている。

以上、楽器説明でした。


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