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イタリアオルガン事情その7 [楽器]

お約束のピストイア、後半です。

前の記事で、この小さな町が親日家が多いと書きました。
その理由は…

ある教会に、お金が無い為に修復されていない名工が作ったオルガンがありました。
それを知った、日本のオルガン製作家・修復家の第1人者である故辻宏氏が、寄付をつのり、様々な方面に働きかけ、自らはこの町に泊まり込み、見事にそのオルガンを蘇らせたそうです。

そのオルガンがこれ S.フィリポ教会の1745年トロンチ製のオルガン

今回のツアーでは、辻氏の娘さんも同行し、思い出深いこの地を味わっていた。

また、この町には皇后美智子様も訪れ、現地のフルート奏者と突然、ピアノで共演したのがニュースにもなっていたが、覚えている方もいるかもしれない。

そのような訳で、日本の印象は大変良く、親日家が多いのだそうだ。

この町ではもう一台小型の動かせるオルガンポジティブ・オルガンを見た。
  

大変小型にもかかわらず、響きの豊かな楽器であった。ここは修道院で、黒い服に身を包んだ修道女の方々が見学する、私たちを見学していたが、横からみると、スターウォーズの一番悪い人に似ていてびっくりしたものでした。ごめんなさい…

次は、ボローニャです。つづく。


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イタリアオルガン事情その6 [楽器]

今日はイタリアの田舎町ピストイアのオルガンです。

フィレンツェから45分ぐらい電車に乗っていきます。

まず、町のカテドラル(大聖堂)にあるトロンチ作1793年の音を聴きながら、ミサに出席。

司祭さんがなんとオルガン奏者で、日本びいきのPineski氏であった。ミサ終了後、詳しくみせてくださった。

その後、スピリト・サント教会にて、オランダ人ヘンマンスが1664年に製作した重要なオルガンを見学。
     

かなりこの小さな町で、オルガンの講座が行なわれ、貴重なオルガンたちが活躍するそうである。

実はこの町はある理由から親日家が多い。その話は次回にまわそう。


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イタリアオルガン事情その5 [楽器]

イタリアの話の続きです。本来はオルガンの話ですが、その前に・・・

フォレンツェに入る前日に、参加者有志で、ワイナリー見学にも行ってきました。
フィレンツェ郊外のワイナリーMontagliariというところに行きました。

トスカーナのワイン畑、この葡萄がワインになるのね…と思った後、内部を案内して頂いた。

個人の名前が入った樽、

小さな樽は、通常のワインを月日をかけて濃縮させた、Riservaで、褐色色をした、大変濃厚な味になったもの。

試飲場所で、様々なタイプのワインを飲ませていただいた。
私はワインには弱いほうで、気持ち悪くなったり、頭が痛くなったりするのだが、キャンティクラシコはさわやかでいくらでも飲めてしまう。しかも、悪い酔い方はしない。

 ここで、日本持ち帰りは3本なのだが、6本購入。

そのうち3本はフィレンツェのホテルで飲む。いくら飲んでも、気持ち悪くならない・・・どころか良い気持ち。
日本で飲むと気持ち悪くなるのはきっと防腐剤のせいなのかもしれない・・・。

このワイナリーでは、ワインから作るバルサミコも売っていた。高いものだと、本当に小さいビンで5000円!!
味見をしたけれど、やはり美味であった。

そのようなイタリア文化を堪能してのオルガン試奏は夢の連続でありました。

フィレンツェ、アルノ川を渡ったところにあるS.フェリチタ教会では、参加者全員がゆっくり触れる時間をたっぷりと取って頂いた。「鍵盤はチェンバロより軽いかもしれない・・・」という言葉に納得がいく1572年以前に作られたここのオルガンは、一段鍵盤、足鍵盤はやはりプルダウンと言われる紐で低音の鍵盤と結ばれた形を持っている。他の場所のオルガンが鍵盤が聖堂側に出ているのに対して、鍵盤は聖堂から見えない後ろ側、つまり鍵盤の向こうにパイプが並び、その向こうに聖堂があるという構造。

その後、有名な捨て子寺院として名高い建物のならびにあるSs.アンヌンツィアータ教会へ移動。ここでは、案内をしてくれたメニケッティ氏の演奏を聴くのみ・・・といってもそれも、素晴らしい事であるのだが・・・。欲が出てしまう。

これで、フィレンツェの歴史的オルガンはおしまい。次回はピストイア。


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イタリアオルガン事情no4 [楽器]

午前中に3つの教会と4つのオルガン(ロレンツォ教会には2台ある)を見た後、お昼となる。

フィレンツェに来たのだから、Tボーンステーキを食べた!!美味美味
 有名な広場の目の前のお店へ。

午後はアルノ川のベッキオ橋を渡った向こうにあるS.フェリチタ教会へ。
1572年以前のオルガンが状態も良くそこにあった。

このイタリアルネサンス時代のオルガンの特徴はこれ。

足鍵盤は少なくしかも、上の鍵盤と簡素な紐でつなげられている。プルダウンと呼ばれるこの方式で、足鍵盤は手鍵盤の低音を受け持っているのが良く分かる。
これは面白い。独自に足鍵盤のパイプが着いているのではなく、あくまでも補助。
だから、イタリアのオルガン楽譜(ルネサンス、バロック)は足鍵盤用の3段目の5線がないのか~と気付く。

各自にゆだねられていたり、楽譜からくみ取ったりして演奏するのですね。

つづく


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イタリアオルガン事情no3 [楽器]

フィレンツェでの2件目の教会にあるオルガンを見るため、
ダンテの家を横切りながらベネディクト派の修道院「パディア・フィオレンティーナ教会」に向かう。

修道女が待っていてくれ中へ。

かなり高い所にあり、その時は会堂内の修復中でもあり、オルガン席まではいけなかった。

ここのオルガンはその前に見たS.ロレンツォ教会のオルガンのように調律調整はあまりされていない。
これは、全イタリアでの問題の一つともなっている、教会の財政難があるようだ。

調律調整されていないものの、音色はすばらしい。

また、礼拝堂の高い所に設置されていると、上から音が降ってきて、天からの調べのように聞こえ、有難い感が増す。キリスト教の大事な要素になっているのであろう。

この当時の楽譜には、挿絵として天使たちに囲まれて天上の楽器として描かれているのはオルガン、チェンバロは俗的な楽器として地上で人間に囲まれて描かれている。私が演奏している楽器はこの俗的な楽器チェンバロ。

次に訪れたのはS.マリア・マッダレーナ・デ・パッチ教会へ向かう。

美しい中庭を通り、礼拝堂に入る。
こちらは礼拝堂に入って左手上に設置されているのだが、演奏席は高いかこいで囲まれている。
どうやって礼拝の進行に合わせて演奏するのだろう? と思っていると、演奏席に上がって納得。
小さい穴が無造作にあけられていた。

ここは、昔のアルノ川の増水時に水につかった部分が壁にくっきり残っている。
そして、奇跡的にペルジーノが描いた「十字架に架かったキリスト」という絵が助かったと言う事で、見せても頂いた。はっきりとその絵のすぐ下に水が来たラインが残っていた。

そこを後にし、次はヴェッキオ橋を渡って教会に向かう。

つづく


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イタリアオルガン事情no.2 [楽器]

フィレンツェではまず、メディチ家の礼拝堂(お墓&メディチ家の歴史が見れる展示物もある)とつながっている建物にあるオルガンを訪ねる。

サン・ロレンツォ教会である。

パイプ・オルガンというと何段もの鍵盤を持つ大きな楽器を連想してします。
しかし、イタリア・ルネサンス時代のオルガンは一段鍵盤がほとんどで、この聖堂内にある1502年に設置されたオルガンも一段鍵盤であった。

という事は、空気をパイプに送る道をあける鍵盤は仕様も簡素で、鍵盤事態が軽いのも納得。

「チェンバロよりも軽いですよ」という言葉を再認識。

ミサまでの少ない時間であったが、大きな感動を持って、隣の建物に移動、中にあるメディチ家のお墓や、血なまぐさい舞台となった聖具室を見せていただき、外に出る。

すると、玄関前に長い列が・・・・ここは有料の施設であったのだが、オルガン席から無料で入れていただいたようである。ラッキ~

次の教会に向かう途中に「ダンテの家」があった。

フィレンツェ在住のオルガン奏者さんは、本当だか不明・・・と言っていました。

つづく


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イタリアのオルガン事情no.1 [楽器]

2年間前に行ったイタリアのルネサンス時代のオルガン事情を今頃ですがお知らせしていこうかと思います。

イタリア人のチェンバロ・オルガン奏者のRM氏が日本に来た時に、装飾音の疑問を問いかけた。
その疑問とは・・・
イタリアのルネサンス、バロック時代のオルガン作品はチェンバロ作品としても演奏する。チェンバロでの演奏であれば細かい装飾音は不思議ではないのだが、オルガンは鍵盤は重い、反応はそれ程良くないだろう・・・と思っての疑問だった。で、どのように演奏していたのだろうか??と問いかけた所、ルネサンス時代のイタリアのオルガンの鍵盤はチェンバロよりも軽いかも、という言うのだ。

「え~、信じられない」といった所

「弾いてみれば分かる」と。

「では、行ったら弾かせていただけるか」と聴くと「是非、いらっしゃい!!」と言う。

そこで、とんとん拍子に決まったイタリア、オルガン見学試奏旅行に出かけた。

フィレンツェの宿にメンバーと集合。
この観光地フィレンツェで4台もの歴史的なオルガンが現存し、その響きを聴く事が出来るとあって、興奮状態の自分を感じる。

宿からは有名なドームも見え、左手には中央市場があるという、好条件の宿。
オルガン自体は次回に。


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休日、楽器 [楽器]

GW、どのように過ごしていますか?

私は、前半に長野県須坂市の峰の原にある、おなじみのペンションに一泊で家族友人と行きました。
このペンションは独身時代から、1人でも泊まりに行っている所で、本当に帰ってきたという感じがするペンションです。

ペンションは、ホテルの便利さ独立性や、旅館の旅をかみ締めるような感じではなく、知らないところに行くと、不便さ、中途半端さを感じる事もありますが、ここは本当の意味で、家庭的な上に自由さがあふれていて、さらに元コックさんだったオーナーご主人が作る料理は最高です!

このペンションの近くにある『緋の滝』に行きました。くま注意の看板を横目に30分ほどのハイキング。
4歳6歳の子も頑張って、なかなかきつい坂を下って登りました。

変わって連休後半の初日、茅ヶ崎にあるイタリアのチェンバロ工房のショールームにお弟子さん等と行きました。

楽器を試奏している間、同行した娘は1人海へ
   良い天気でした。

で、今回見に行って目玉は「ステゥディオ・モデル」というイタリアンを元に新しく考案された、一段鍵盤のチェンバロ。音域を少なめにし、木の材質を落としながら、他の音を出す部分はなるべく本物を使用して、安価にしたもの。通常100万ほどする廉価版のチェンバロに迫りながら値段は税抜き64万。これはすごいです。
数曲演奏してみましたが、楽しかった。
ちょっと反応が悪い所もあったけれど、調整でかなり改善されると思うし、ツメを少し違うのに変えるのも可能といっていたので、指に感覚がもっときそうです。

興味を引かれた方はBIZZIで検索してください。

2名の方が購入を考えている模様です!


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チェンバロを購入する場合 [楽器]

前にブログでイタリアの楽器工房(BIZZI社)について書いたので、その続き。

チェンバロという楽器は高価です。
前の記事のように安価といっても100万ほど。それ以下はなかなか難しいようだ。

そのような高価な楽器を購入する時の参考に少し。

チェンバロという楽器は様々なタイプがある。そして、それによって形、大きさ、音色、鍵盤の数、色などが異なる。
どのような曲を弾きたいか、何に一番使うのか・・・それによって、選ぶ必要がある。

ちなみに大きい順:フレミッシュ2段鍵盤(デュルケン)、ジャーマン2段鍵盤、フレンチ2段鍵盤、フレミッシュ2段鍵盤、一段鍵盤各種、イングリッシュスピネット、イタリアンヴァージナル・・・という感じでしょうか。

また、チェンバロはすべて木の出来た箱、またはフレームで作られている。その為、張られている弦の張力はそれ程強くない。これは、振動が良く伝わるように出来ている利点もあるが、音が狂いやすい。ということはかなりの頻度で調律をする必要がある。ピアノを家庭で弾いている場合は一年に一度調律の方をお願いして、調律してもらうのが、通常のことだが、チェンバロではそうはいかない。かといって毎回調理をお願いすると大変、値もはる。

ではどうするか?

自分でやる必要が出てきます。今は、使い勝手の良いチューナーがあるので、そう大変な事ではないものの、初めてだと慣れるまではちょっと大変。という事は、弦の数、つまり鍵盤数が少ないほうが楽である。

プロの演奏家としてやるのでなければ、自分の手に負える範囲での楽器を手に入れるのが、良いと思う。

また、選び方であるが、
楽器製作家によって、メーカーによって、音色、タッチも微妙に違い、大事にしている点も違うので、多くの楽器を見ておくことも大事と思う。

個人の製作家の利点は融通が利く事、さらに日本の製作家だと、すぐに色々対応してもらえる。でも、出来上がっていない楽器を注文することもある。数ヶ月待つ事もある。
全世界的にチェンバロ製作家はかなり増えている。一ついえることは皆、かなり個性的。その為、たまに面倒臭い事も起きるかもしれない。

その点、メーカーはそれは無い。(と思う・・・)

今はインターネットで多くの製作家のサイトを見ることが出来る。
そういうサイトを紹介しているのがここ。http://clavecin.jp/04.html

チェンバロを一堂に集めて見れる機会がちょうど4月末にある。
山梨で行われる、古楽コンクール。このサイトで詳細がわかる。http://homepage2.nifty.com/eterna/

とにかく、高価(いくら安価なものが出るとはいえ)な買い物になるので、ご自分の目で足で、なるべく多くの楽器に触れ、自分はどのタイプの音が好きなのか・・・徐々に、明確にしながら選ぶことをお勧めする。

こちらは演奏家ですので、どの楽器がお勧め・・・は触れません。・・・が、ご質問があったらお気軽にどうぞ~


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チェンバロ事始 [楽器]

イタリアに歴史的オルガンの試奏、見学に行った際に、ミラノのチェンバロメーカーの所に立ち寄った。

ミラノの少し郊外にあり、国際空港への途中という事もあって、帰国便に乗る前に寄った。
大変のどかな緑あふれる中に、その工房はある。

各部分を各専門家が手作りをする流れのチェンバロ製作は大変理にかなっている。

枠部分、弦を張る部分、心臓部、鍵盤、塗装、装飾・・・など楽器は多岐の工程を経て完成されるもので、部屋ごとに工程が異なる興味深い工房を見学させていただいた。

それが、BIZZI氏が展開している BIZZI チェンバロ である。

日本BIZZIのホームページはここhttp://coastaltrading.biz/index.html

イタリアン、フレミッシュ、フレンチ、ジャーマン、スピネットなど各種タイプもそろっている。

興味深いのは、多少安価な、通奏低音用(アンサンブル用)の一段チェンバロとそのさらに簡素化されたステゥディオ・チェンバロと呼ばれるタイプ。多少安価とはいっても、100万以上。ちなみに2段鍵盤は300万ほどはする。

最近、チェンバロも多少、市民権を得て、趣味で、やる方も増えてきたのに伴い、音を出す部分は本物・・・どこかは簡素化されたものがあると良いのに・・・と感じていた。

以前TOKAIのスピネットがあり、30万~40万で手に入り、私が始めた頃は、鈴木正明氏、副島氏も練習したその楽器が私の元に回ってきたものだけど、その頃は本当に貴重なピアノでは無い機構を持った楽器であったことに感激して練習に使用した。が、今ではかなりのところで本物に出会えるし、練習が出来るようになったこともあり、いつしか、それは姿を消し、本物志向が勝って高価な本物の楽器を手に入れるという流れになっていたように思う。それも、かなり専門に勉強する人を中心に。
でも、チェンバロ講座等(興味ある方や、ピアノ既習者で触って見たいの為の)が多く開かれ、楽器への興味、理解も広がってきた様に感じる。

そこに、このBIZZI氏がフランスで流行ってきた子供がチェンバロを習いだすという風潮を受けて、さらに、安価なチェンバロを(鍵盤が多少少ないらしい)開発した事を聞いた。

値段は未定らしいけれど、これには興味がある。

100万以下70万以上ほどの楽器ならば、考えたいという生徒さんが数人いるので、今度、是非、詳しい話を聞きたいものである。
はっきりしたら、ここでも、報告しますね。


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